(解雇全般について)

焼き鳥店を経営しています。従業員が、フェイスブックやツイッターで、上司からパワハラを受けているだとか、ありもしないことを吹聴したり、全く掃除がなされていないなどと、わざと汚くして撮影した動画をユーチューブに流したり、お客さんの動画を無断で流すなどの行為を繰り返していたことから、懲戒解雇にしたいと考えています。問題はありますか?
お店の名誉を毀損する動画や記事を投稿することは名誉毀損罪という犯罪、虚偽の事実を投稿するなどして店の信用を毀損したり、お客様が来店しなくなってしまうなどの業務の妨害を来した場合には、信用毀損罪や業務妨害罪といった犯罪が成立します。悪質性が高い場合には、お店への打撃も計り知れないので、一発解雇も有効となる場合があります。

ただ、一般的には、なかなか裁判所は一発解雇を認めない傾向がありますので、まずそれよりも軽い処分を入れて指導改善するというワンクッションを置いてから解雇に向かうか、あるいは退職勧奨することをお勧めします。

立て続けにそういった行為が起き続けており、一刻を争うような事態や、すぐに解雇しなければ他の従業員が辞めてしまうなどの切迫した状況においては、解雇の効力が争われて無効になってしまうリスクを覚悟の上で、ハードランディングを選択をしなければならない場面も、経営判断として必要になることはありますので、当事務所では、机上の議論ではなく、経営者の目線で寄り添い、ご相談に乗ります。

懲戒解雇の効力が争われた場合には、裁判所は

・就業規則に定める懲戒事由・処分に該当するか
・行為と処分のレベルが離れていないか(譴責、戒告、減給、降格、出勤停止等の他の軽い処分選択と指導改善の余地の有無など)
・懲戒処分の手続が慎重に行われているか(解雇するには弁明の機会の付与が必要など)
・二重処分になっていないか

等の事情を総合考慮して判断を下します。