①立地選び
オフィス街なのか学生街なのか、繁華街なのか郊外なのか、商圏のタイプによって、お客様の層が異なり、商品単価の相場、お客様の予算も好みも変わってきますので、店のコンセプトにあった立地を慎重に選びましょう。
人通りの多い場所が一般的には望まれますが、隠れ家的にあえて人通りのないところに出店して逆にそれを売りにする店もあり、表面的な立地条件のみに囚われることなく、差別化を意識しながら店のコンセプトとの摺り合わせをして決定しましょう。
②物件選び
外観と内観は、とても重要です。純然たる味で勝負するラーメン店であれば、古めかしい歴史を感じる物件の方がかえって良い場合もありますが、そこでワインを飲もうとするお客様は少ないはずであり、店のコンセプトに合致した内外観を備えた物件の選定が必要です。
店のコンセプトに合った居抜き物件をもし探すことができれば、内外装費や什器備品類の購入費を掛けずに、初期投資を抑えることが可能になります。
「夢の雫」では、店のコンセプトや規模が比較的近い梅酒バーを経営されていた全店舗の居抜き物件であったため、カウンター席や椅子、テーブル席のほか、製氷機やガスレンジ、食器棚等の備品類もそのままにほぼ無償で引き継ぐことができ、内装費もまったく掛けずに開店することができましたので、初期投資をほとんど掛けずに済みました。
ただ、居抜き物件の場合には、入居後に想定外の内装工事や修繕が必要になったり、引き継いだ製氷機等の備品類が動かずに撤去費用をかえって余儀なくされたり、あるいは、設備の老朽化から、空調が悪く光熱費がいたずらに掛かってしまう等のトラブルも耐えませんので、これらの不都合を後に知って後悔することのないよう、契約前に慎重に検討すべきです。
家賃は、どうしても資金繰りを圧迫しますので、店のコンセプトに合った店舗選びをいたずらに妥協すべきではありませんが、できれば売上金の6~8%程度に抑えることが理想的です。
また、例えば2~4名程度で回す規模のお店であれば、15坪前後の広さがあれば十分であり、30坪以上もの経費を圧迫するような大きな物件は不要ですので、動線も意識しつつ、店の規模に見合った適正な広さの物件を慎重に見極めましょう。
③現地へ足を運ぶことの重要性
ネットや広告で探した不動産業者任せで、物件もきちんと確認することなく、勢いだけで契約してしまうのは言語道断です。
物件をきちんと見ておくべきことはもちろん、開店前に、他の周辺競合店の実際の姿を見ることができるのですから、同じビルの他店舗、あるいは周辺の競合店で食事するなどして事前に調査をし、どのようなレベルの食事や酒がどの程度の価格で提供されているのか、どのような客層に指示されているのか等、事前に十分に生の情報を収集しておくべきです。
実際に繁盛していない店舗と同様のことをしても、先行きのないことは、やる前から火を見るよりも明らかです。
「夢の雫」においても、同一ビル内での競合店舗で実際に食事してみて、ここまでの努力をしないと駄目なんだとか、食事の提供速度や価格バランス等を知ることもでき、到達必要レベルを肌感覚として知ることができました。
お近所付き合いをきちんとしておくと、お客様のご紹介をいただける等の副次効果もあったりします(笑)。入居時に当たっては、必ず近所へのご挨拶をしておきましょう。