飲食店開店へのステップ

開店計画

飲食店開店の流れ

    • コンセプトの立案、物件選定
    • 資金計画・資金調達、事業計画書の策定
    • 店舗の設計依頼、厨房機器見積り依頼
    • 融資実行、店舗賃借契約
    • 工事契約、施工
    • 店名決定、ロゴ作成
    • HP、SNS等販促の検討・作成依頼
    • 各種マニュアル、教育資料作成
    • メニュー作成、原価計算・売価決定
    • 食器・備品購入、仕入業者選定
    • スタッフ・シェフ募集広告、採用面接、雇用契約
    • 食品安全衛生講習、保健所・消防署検査、税務署届出
    • 電話・インターネット開通
    • 開店準備、食材・酒類仕入、カード決済システム導入
    • 料理試作・レシピ作成、接客トレーニング
    • 近隣挨拶回り、オープニングチラシ配布
    • プレオープンイベント
    • オープン!

事前準備

オープンに向けての準備が一番大事です。さあ、始めてみましょう。

1飲食ビジネス成功のポイント

  • 個性による差別化と高付加価値の付与
  • 地域密着の店であること
  • 目的意識・コンセプトが明確であること
  • 接遇による特別感の演出
  • 客層にフィットしたこだわりの継続
  • 少子高齢化、人口減といった時代の潮流にアンテナを張ること

2付加価値が利益を生む

飲食ビジネスにおける付加価値とは、Quality(品質)、Service(サービス)、Cleanliness(クレンリネス=清潔感)、Atmosphere(アトモスフィア=その余の店全体の雰囲気)の4要素の総合力です。
同じ100円の原価でも、200円で提供する店と1000円で提供できる店の差が、この付加価値の差です。

  • Quality品質
  • Serviceサービス
  • Cleanliness清潔感
  • Atmosphere店全体の雰囲気

3コンセプトの策定

飲食店の開店に当たっては、5W2Hの検討と決定が重要です。具体的な経営プランを立てておく事で資金調達や施工会社との打ち合わせ、お客さんへの告知の際など様々な場面で明確にお店の魅力をアピールすることができます。

  1. WHAT(何を)
  2. WHO(客層・誰に)
  3. WHY(客の利用動機・シチュエーション)
  4. WHEN(営業時間)
  5. WHERE(立地)
  6. HOW(楽しませ方・演出)
  7. HOWMUCH(価格)

4法人か個人か

法人化には対外的信用力があり、資金調達をしやすいというメリットがあります。個人事業であれば、開業のためのコストが低く抑えられ、手続きも簡単というメリットがあります。法人と個人はそれぞれメリットとデメリットがありますので、現状や今後の展開をよくお考えた上で判断する必要があります。

5立地調査

コンセプトに見合った立地は極めて重要です。

  • 商圏調査と街の将来像の把握
  • 時間ごと、曜日ごとの店前通行量調査
  • 競合店調査
  • 物件調査(内外装、エレベーターの位置、排気、看板条件、トイレなど)

6物件の選定

  • 立地選び

    オフィス街なのか学生街なのか、繁華街なのか郊外なのか、商圏のタイプによって、お客様の層が異なり、商品単価の相場、お客様の予算も好みも変わってきますので、店のコンセプトにあった立地を慎重に選びましょう。
    人通りの多い場所が一般的には望まれますが、隠れ家的にあえて人通りのないところに出店して逆にそれを売りにする店もあり、表面的な立地条件のみに囚われることなく、差別化を意識しながら店のコンセプトとの摺り合わせをして決定しましょう。

  • 物件選び

    外観と内観は、とても重要です。純然たる味で勝負するラーメン店であれば、古めかしい歴史を感じる物件の方がかえって良い場合もありますが、そこで高級ワインを飲もうとするお客様はおらず、店のコンセプトに合致した内外観を備えた物件の選定が必要です。
    店のコンセプトに合った居抜き物件をもし探すことができれば、内外装費や什器備品類の購入費を掛けずに、初期投資を抑えることが可能になります。ただ、居抜き物件の場合には、入居後に想定外の内装工事や修繕が必要になったり、引き継いだ製氷機等の備品類が動かずに撤去費用をかえって余儀なくされたり、あるいは、設備の老朽化から、空調が悪く光熱費がいたずらに掛かってしまう等のトラブルも耐えませんので、これらの不都合を後に知って後悔することのないよう、契約前に慎重に検討すべきです。
    家賃は、どうしても資金繰りを圧迫しますので、店のコンセプトに合った店舗選びをいたずらに妥協すべきではありませんが、できれば売上金の6~8%程度に抑えることが理想的です。
    また、例えば2~4名程度で回す規模のお店であれば、15坪前後の広さがあれば十分であり、30坪以上もの経費を圧迫するような大きな物件は不要ですので、動線も意識しつつ、店の規模に見合った適正な広さの物件を慎重に見極めましょう。

     
  • 現地へ足を運ぶことの重要性

    ネットや広告で探した不動産業者任せで、物件もきちんと確認することなく、勢いだけで契約してしまうのは言語道断です。 物件をきちんと見ておくべきことはもちろん、開店前に、他の周辺競合店の実際の姿を見ることができるのですから、同じビルの他店舗、あるいは周辺の競合店で食事するなどして事前に調査をし、どのようなレベルの食事や酒がどの程度の価格で提供されているのか、どのような客層に支持されているのか等、事前に十分に生の情報を収集しておくべきです。
    実際に繁盛していない店舗と同様のことをしても、先行きのないことは、やる前から火を見るよりも明らかです。
    お近所付き合いをきちんとしておくと、互いにお客様を紹介し合ったり、混雑時で入店できないときにサービスチケットを渡して他の店で待機してもらう連携の実現なども可能となるので、必ず近所へのご挨拶をし、交流を図っていきましょう。

7看板の重要性

地上の置き看板や吊り下げ看板から屋上の広告看板まで、地上から離れるに従い、大きさもアピール度も大きくする必要があります。

地上看板は、少なくとも100m以上手前から通行人に発見されないと効果が薄いです。

また、看板の色は食欲増進や高揚感を与えるとされる暖色系が望まれます。

8ファサードデザインの重要性

ファサード(正面入口)のデザインは、店の顔としてのこだわりを出すことが重要です。

理想は1階の路面店ですが、地下や2階店舗でもファサードデザインの工夫で集客率を高めることが可能です。

  • 誘導看板の設置と工夫
  • 看板に、店内写真・メニュー写真・価格・こだわりや店の特色などをコンパクトに表現し、客を店へ誘導する
  • 照明で演出する

9設計・施工業者の選定

  • 飲食店専門ないし飲食店の設計・施工の実績が多数あるところを選ぶ
  • 機能性を重視(効率的なスペースと動線の確保)
  • コンセプトに見合った設計・施工が可能か、実際に手掛けた店舗を視察する
  • 工事内容・絶対納期・アフターサービス内容を明確に契約書に明記する

各種手続

事業計画を立てて許認可の取得などの準備を進めます

1開店時の各種届出

飲食に関わる営業を行う場合、保健所の許可が必要となります。営業形態や取扱食品の種類等で変わってきます。内装工事が済んでしまってから変更を求められることもあるので、事前に保健所で相談して確認しておきます。また、スナック、バー、ダンスクラブ等の風営適正化法に規制される営業形態の飲食店の場合、保健所への許可のほか、警察署での許可が必要となる場合がありますので注意が必要です。

2事業計画の策定

事業計画書作成の3つのポイント

  1. 営業方針と事業の将来性の分析
  2. 開店後の経費(初期条件の設定)と売上分析
  3. 予想損益計算書(月次)と資金繰り表(5年間)

3資金調達

創業での初期費用を抑えるのはもちろんのこと、資金調達の確保も重要です。当事務所では助成金・補助金の申請業務及び低利での無担保・無保証融資利用の支援も行っています。新規創業の補助金や設備投資にかかる補助金や、人の雇用などによって得られる助成金が検討できます。多くの会社、事業主さんに適用の可能性がありますので、一度ご相談ください。

4損益分岐点売上高

利益を生み出すために最低限必要な売上高を損益分岐点売上高と言います。

材料費は売上高の35%、人件費は売上高の25%(材料費と人件費の合計が売上高の60%以内であればOK)、諸経費は売上高の14%、初期条件(地代家賃・支払金利・減価償却費・リース料等)は20パーセントに抑えると、売上の6%の利益を出せて理想的です。

損益分岐点を意識し、これに目指す利益を上乗せした目標売上高を明確に設定し、その利益を生み出せるよう、経費をコントロールすることが重要です。

5仕入れ業者の選定

小回りが利く業者が良いとは限りません。その分のコストが上乗せされている可能性があります。

どれだけ旬の情報を提供してくれるか、当該業者の通常の配送ルートに自店が乗っているか、週数回程度小ロットで配送してくれるか、支払日を自店サイドに合わせてくれるか、イベント企画などに協力してくれるか、等の視点が重要です。

当法人では、高品質の肉や海産物、チーズ、野菜、ワイン・日本酒等の酒類の信頼できる仕入業者のご紹介が可能です。

6労務管理

労働紛争は起こる前に未然に防ぐことが最も大切です。昨今の労務紛争は労働者側が有利になっているので、労働紛争は経営者サイドにとって脅威です。オリジナル就業規則などの諸規定の整備で紛争予防をし、万が一問題が発生した際も弁護士が介入してくる前に労働者との和解交渉を行う、また労働基準監督署との折衝による早期解決などが非常に重要となります。

7営業時間と休日の設定

客のニーズと立地に適した営業時間と休日の設定を考えます。

深夜0時以降の営業については、飲食店従業員や同伴客等のターゲット層と深夜割増やタクシー代等のスタッフ経費との兼ね合いを意識し、自店のコンセプトとマッチングしているかを慎重に検討する必要があります。

オフィス街ではランチ営業も重要ですが、混雑で入れない客をいかに拾うか、競合店との競合を回避する視点も重要で、午後1時過ぎのドリンク無料等の工夫も検討が必要です。

日曜休日の店が多いですが、競合店の休日の営業の検討も重要です。

開店前準備

開店前のトレーニングや告知の準備でお店の印象が決まります

1オープン前トレーニング

オープン前からプロ集団でなければならず、第一印象で店の印象は決まるので、1週間程度のオープン前トレーニング期間を設けた方が良いでしょう。

オーダー時の略語、接客の動きや基本用語の徹底、クレンリネスの徹底などについて、オープン後の失敗を最小限に抑える反復訓練が重要です。

オープン前トレーニングと兼ねて、理解ある近い関係の方々を招待してプレオープンと称して実践的にオープン前トレーニングを行うのも良いでしょう。

2開店時宣伝の工夫

HPやインスタ等のSNS、折込みチラシ、ラジオ・テレビ、雑誌、ポスティングなどでの周知が代表的です。

看板や割引チラシ・無料チケット・ティッシュ配布などによる通行人への周知

告知は、反復が必要であり、オープン前2日間、オープン後1週間は徹底して告知を継続する必要があります。

オープニングイベントや会員制サービス告知等によるクラウドファンディングなどによる周知も効果的です。

開店時の着眼点

商店街・繁華街の場合

  • 商店街では、固定客層が主流で、地域住民との交流が大切です。
  • 繁華街は、店の入れ替わりが激しく、個性による差別化、目立つことが重要です。競合が多く、付加価値を付けて口コミも鍵となります。

ロードサイドの場合

  • 遠方からでも店が視界に入ってくる「看板」はとても重要です。
  • 駐車場や駐輪場の確保も重要です。
  • 酒を飲まないドライバー客が多いため、夜営業で利益を生む工夫が必要です。

商店街・繁華街の場合

  • 昼の売上が大きい割合を占め、入店できない客が出てしまう昼営業の時間帯をいかに前後に拡大して客の入りを分散できるかが鍵となります。繁忙時間外で利用できるドリンク無料券配布等のアイディアが重要です。
  • 仕事の打合せや商談等ができる空間を作ることも重要です。
  • 土日の売上が少ないのがネックであり、テイクアウトやデリバリー等での売上げ補充、他業種への土日限定での転貸や土日のみの業態変更等の工夫も必要になります。