(フランチャイズ契約における紛争)
競業避止義務
フランチャイズ契約は,フランチャイザーとフランチャイジーの信頼関係を前提とした継続的な取引契約であり,フランチャイザーは,フランチャイジーに対し,営業秘密やノウハウ,内部情報などを提供します。
だからこそ,フランチャイズ業務に従事している期間中は,フランチャイジーがフランチャイザーの営業と同一または類似の営業を行ったり,営業秘密を不正に利用することが制限されることになります。
では,フランチャイジーは,フランチャイズ契約終了後においても,競業避止義務を負うのでしょうか。
フランチャイズ契約自体に,契約終了後の競業避止義務について定めがある場合,その競業制限の内容次第で,競業避止義務の有効性が決まります。具体的には,期間や区域の限定なく無条件に競業を禁止するような内容ではなく,フランチャイジーの営業の自由を不当に制限する内容となっていないのであれば,その競業避止義務を定めた契約条項は,有効ということになります。
契約終了後における競業避止義務条項が有効な場合は,フランチャイジーは,フランチャイズ契約終了後においても,競合する営業をしてはならないという義務を負いますし,契約に違反して競業を行った場合には,フランチャイザーから損害賠償請求を受ける可能性があります。
競業避止義務違反の損害賠償については,あらかじめフランチャイズ契約において違約金の定めを置いておくことが多く,「ロイヤルティの●●カ月分」といった定めをしている場合が多いようです。
秘密保持義務
フランチャイズ契約においては,通常,契約終了後においても,フランチャイジーに対し秘密保持義務が課されています。
フランチャイジーが秘密保持義務違反を行った場合には,フランチャイザーから損害賠償請求を受ける可能性がありますが,多くの場合,フランチャイズ契約において既に秘密保持義務違反の場合の違約金の金額が定められています。