(フランチャイズ契約における紛争)
フランチャイザーによる説明
新たにフランチャイズ契約を締結しようとする場合,フランチャイジーになろうとする個人又は法人は,フランチャイザーから,契約内容やフランチャイジーになった場合の権利義務に関する内容,フランチャイズシステムに従った事業内容について,説明を受けることから始まります。
この時,フランチャイザー側の情報提供が不十分であったために,当初の説明と事業開始後の結果が異なり,フランチャイジーが損害を被ったとして,法的トラブルに発展するケースが多いといえます。
一般に,フランチャイズシステムを提供するフランチャイザーは事業のプロであり,フランチャイジーになろうとする者は,商売の素人である個人や,経験の少ない小規模企業であることも少なくありません。このため,契約締結の前段階で,知識と経験と情報の格差が生じることを前提に,特にフランチャイジーになろうとする個人又は法人は,慎重に事前の説明内容を理解する必要があります。
弁護士は契約に関する専門家ですので,フランチャイズ事業の内容,紛争や損害のリスクについてもかみ砕いて説明することが可能です。新たにフランチャイズ契約の締結に踏み切ろうとする方は,締結前の事前説明の段階から弁護士を関与させるメリットがあります。
また,フランチャイザーが契約締結段階においてフランチャイズ事業に関する重要事項につき十分に説明を尽くさなければならないことについては,中小小売商業振興法11条1項,独占禁止法19条,同法2条9項などの法令による規制がありますし,業界団体の規制としては,一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の「倫理綱領」(http://www.jfa-fc.or.jp/particle/36.html)にも規制があります。
フランチャイザーにおける法的責任の発生
契約締結段階におけるフランチャイザーの説明が不十分であり,フランチャイジーがこれによって損害を被った場合,フランチャイジーは,フランチャイザーに対して,民法上の不法行為(詐欺・詐欺的行為など)や,情報提供義務違反を理由に,損害賠償請求を行うことが可能です。