接客や盛り付けを含む提供方法等の外形面としてのおもてなしとい
う面においては、上記のようなインプットの勉強で身につけられることが多いと思います。ただ、いくら外観を良くしても、接客を良くしても、やっぱり、美味しくないと客は集まらないと思います。自分なりに創意工夫をしているのですが、中身の向上、食事や酒の質の向上のため、何か工夫できることはありますか?
ご指摘のとおりだと思います。
夢の雫を出店して、多くの飲食店経験者から話を聞き、外形面として学ぶことが非常に多いです。ただ、いつも、「でも、この方の店、美味しくないんだよな・・」と、正直いつも内心で思っている自分がいます。これは、ひとえに、オーナーの食レベルということに尽きると思います。食ほど、ピンキリであって、上には上がおり、自分の知識や経験ほどちっぽけなものはなく、謙虚に虚心坦懐に、自分より上の経験者・知識者の人の意見を聞こうとする正しいプライドを持っていないと、いつまで経っても井の中の蛙であり、美味しいものを知ることも提供することも出来ないのだろうと思います。

私も、元々は味覚というものに全く興味がありませんでした。ところが、たった一杯の美味しいラーメンに出会ってから、今までの親父は一体なんだったのだろう、ラーメンも、(目覚めたのが高校時代だったもので)レスリングと同じで、努力の結果なのだ、これを本業としているのに、努力をしていないというのは何事なのだ、とう発想を持ってから、最高の食を提供する店に憧れて尊敬するようになり、そういった店を求めて通う癖がつき始めました。

食のレベルを上げるには、自分で、多くの美食家に評価を得ている店を常に調べ、自分の足で通い、自分の目、鼻、下で飲食し、自分の食レベルを引き上げ、知見を広めるしかないと思います。そして、一流の料理人は、一流の料理人と多くの所で繋がっていますので、お勧めの店を素直に聞き、そしてまたそこに通う。

そして、どんな食材をどこから仕入れ、どうやって作っているのか、感動をしながら素直に聞いてみる。仕入れ先に赴いたら、他にすごい肉やまぐろ、野菜がないか、ライバルがいないか、交流がないか聞いてみる。以外と、教えてくれるものです。そして、実際に自分で試して作ってみる。

柔軟な発想で頭を柔らかくし、自分でやってやろうという発想が必要です。既成概念のマニュアルからまず脱してみるという発想が必要ではないかと思います。飲食業界も例外ではなく、他業種出身が成功することが多いというは話を聞くこともありますが、どの職業も同じでないかと思います。多くの店が美味しくない。これが真実であって、多くの既成概念が間違っているわけです。

こういった経験を積み、それを自ら、あるいはスタッフに教えて実践することに尽きるのではないでしょうか。これらの一流の料理人を連れてくることができれば良
いですが、それは現実的ではなく、料理人任せになってしまったら、所詮、その人のレベル止まりの店になってしまいますよね。

私は、夢の雫を始める前からこれらのことを趣味として、食と酒が単純に好きでたまらないので自然とやっていました。本業としてやるならば、当然に必要なことではないかと思うのです。

食と酒の世界には、上には上がいる。毎回毎回、新たな出会いに感動を重ねます。特に、東京でのそういった店に実際に行って経験をすることは、とても貴重な財産になります。

また力が入ってしまいました。でも、ここがあるから、夢の雫開店などと言う暴挙に出られたところがあり、やっていて楽しいのです。一番大切なところかと思います。