(本人からの請求段階)

現在勤めているバーテンダーから、過去5年分の残業代を請求されています。当店では、深夜営業の許可は取っていないので、午後0時までの営業とし、時間厳守で閉店するよう日頃から指導しているのですが、そのバーテンダーの友人知人が来るなどした場合には、だらだらと2時3時まで営業を続けたり、最後は一緒になって飲んだりもしていたようなのです。午後0時以降の残業代を支払う必要などあるのでしょうか?
まず、残業代請求権は、原則として2年で消滅時効が成立しますので、時効を主張して、2年以上前の残業代請求については支払を免れることができます。

午後0時で閉店とは言っても、食器洗いやゴミ捨て等の片付けなどの残務で閉店時間ちょうどでは帰ることは困難かと思います。そのような必要時間については、残業代支払の義務が発生します。

酔っ払い客が、さしたる注文もなくいつまでも残り続け、かえってもらいにくいという事態はよくありますよね。でもそこは、商売として行っているのですし、そもそも0時以降の営業継続は無許可営業という犯罪になってしまいますので、毅然と閉店を伝え、客を帰らせるべきです。

そのような指導をバーテンダーに徹底して、違反がある都度注意指導を与えていたのに、時間を守ることが困難な事情がなかったにもかかわらず、指導を守らずに違反行為を繰り返していたというような場合には、残業代の支払は必要がないと判断できる場合もあり得るとは思います。

しかし、通常は、「一人で回らない仕事をやらされていた」、「長時間営業による利益は経営者に属していたのであり、暗にそのような違法営業を強要されていた」等の弁解が出されることが多いでしょうし、その場合には、言った言わないの証拠のない争いになってしまうと、その事情を認定できない裁判官は、淡々と、労働時間の事実だけで残業代の未払いを認定する可能性が高いので、営業時間の厳守をまずは徹底すべきでしょう。