残業代問題への対応

①残業代問題の現状

残業をしたら残業代を支払ってもらえる。この当たり前のことが当たり前に知られてなかったひと昔前には、飲食業界においてもサービス残業が当たり前に行われていました。

しかし、現在は、報道やテレビドラマ等の影響もあって、残業代を請求すれば支払われるということが広く知れ渡り、飲食業界においても、正社員のみならず、アルバイトからも残業代の請求がなされることが頻発するようになりました。

法律上、残業をさせてしまったのであれば、残業代をきちんと払わなければならないことになっており、このこと自体を免れることはできません。

但し、現状を見ると、むしろ、正しい知識をもって動労契約を交わしたり、就業規則を整備するなどのやるべきことをやっていないばかりに、本来は払わなくて良い残業代まで余分に支払う結果を招いていたり、いたずらに残業を放置して、無駄に残業代を支払っているケースがあまりにも多いのが実態です。

抜本的な業務効率化を実現し、残業自体を無くすこと、これがまず大切であり、やむを得ず残業が発生してしまう場合にも、無駄な支払いをすることがないよう、正しい知識を身に付けて労務環境を整備しておくことが重要です。

残業代請求Q&A

 

②業務効率化の需要性

経営者の皆様は、実際に自分のお店の厨房に入って調理や接客をしたことがありますでしょうか?もしない場合には、試しにやってみると、いかに調理作業や接客等に無駄な作業が混ざっていしまっているかに気付くことができます(無駄の削減という発想が浮かびにくい雇われ従業員からは、無駄なことに費用が掛かっていても自分の財布が痛むわけではありませんので、無駄についての指摘はなかなか期待できません)。

私も、週1で夢の雫の厨房に入っていますが、調味料や食材、軽量カップ等の器具、注文の入った日本酒の置き位置が分からず、それを探すのに時間をロスしてしまうことが度々です。

注文が入る都度、手書きで会計伝票を書いていると、時間がかかりますし、手が回らないときには記入漏れをして損失を被ることもあります。

また、せっかく時間を掛けて仕入れた野菜等の食材を利用して作った、例えばピクルスなどが売れ残って食材ロスを発生させてしまい、これを捨てることを繰り返してはまた新たに購入を繰り返すというのも、時間と当力の無駄です。

厨房内でどのような業務・作業が存在しているのか、一度、業務の棚卸を行ってきちんと検証し、例えば上記のような無駄が発生してることが分かれば、一番多く注文される料理で使う調味料や調理器具、食器等は近くにまとめて配置するようにしたり、ネット環境を整備して、アイパットの機能を活用し、予めメニューを登録しておけば、注文が入る都度ボタンを押し、自動的に会計処理がなされ、かつ月の売上集計も可能になります。

また、余った食材を使い回せるメニュー構成を工夫することで、食材ロスや仕入回数を逓減できますし、そもそも料理に過分な時間がかかっている割には、売れ行きがよくなく、利益率も悪いようなメニューがあれば削除して、切って出す、瓶から出して出す、温めて出す、等々の手間を簡素化したメニュー開発も必要になるでしょう。

繁忙時間帯の電話対応も困りものですね。できるだけ、ネット予約を活用したいものです。IT化は、至るところで重要になってきます。

経験者ならば分かると思いますが、食器洗いやグラス拭きにも、結構膨大な時間がかかりますね。人件費のロスと比較した場合には、性能の良い食洗乾燥器を購入してしまった方がかえって経済的であるという例も少なくありません。

このような業務の棚卸作業をしないまま、漫然と無駄を繰り返して積み重なる損失は、図り知れません。
是非、面倒くさがらずに一度、業務の棚卸作業を行い、「無駄」を徹底的に排除するために、現場に出ている従業員の意見も十分に聞きながら、改善を工夫してみてください。きっと、大幅な時間の削減を実現することができるはずです。

残業代を支払わないで済む最大の方法は、残業自体を発生させないことです。そのためには、業務の効率化が極めて重要であり、避けては通れない残業代対策の重要課題なのです。

業務効率化が実現でき、残業の少ない快適な初場環境の構築ができれば、従業員も元気に生き生きと仕事に集中して勤しむことができ、退職者も減少し、この人手不足の中での困難な採用活動という無駄な時間を使うことも少なくなり、好循環が生まれます(業務効率化をせずに残業を放置すると、退職者が続出→余裕がない中で吟味せずに採用→退職、の悪循環に陥ります)。

あとは、一定時間数の残業代を固定して支払ってしまい、実際の残業代がその時間まで達しない場合にも決めた残業代を払うようにしてしまえば、長くダラダラ働いても、効率よく一生懸命仕事を早く進めても取得できる金額が同じとなれば、多くの方は、早く終わらせて早く帰るという選択をするようになると思います。残業がない方には賞与を上乗せするとか、部下に残業を発生させてしまった管理職の賞与算定ではそこはやむを得ず不利益評価とするなどの工夫と合わせることで、より一層、無駄な残業自体の予防に繋がるものと思います。

残業は、予め許可した場合にしか認めない許可制の導入も、飲食業ででは適用できる場面が限られてしまうところはありますが、活用できるのであれば是非とも導入したいところです。

1日8時間以上勤務すると割増賃金の支払いを要することになりますので、そうならないよう、人を増やして(支出増は助成金や補助金で賄います)シフト制にするなどの工夫も当然ながら必要ですし、例えば金曜日は祝前日等の繁忙期は8時間以上の労働を予め設定して残業扱いせずに済む、変形労働時間制の導入の検討も一案です。

当事務所では、「残業を削減しましょう」という誰もが分かっているありきたりの抽象論ではなく、飲食の現場目線か、実際に店舗での稼働 実態を確認させていただいた上で、具体的な残業削減の方法をご提案させていただくところから支援させていただきます。

飲食店のトラブルのことなら何でもご相談ください。

飲食店での日々のトラブルを飲食店経営に精通した弁護士が解決いたします。顧客からのクレーム、賃貸着契約トラブル、仕入先トラブル、フランチャイズ契約トラブル、店内での事故・事件、債務超過など、飲食店には様々なトラブルがつきものですので、何でもお気軽にご相談ください。