飲食店において、集客を図る上で最も重要なのは、リピーター、常連客の獲得であると言われています。

当然ながら、新規客の獲得も重要であり、これなくして発展もあり得ないのはもちろんなのですが、新規客の客層は様々であり、必ずしもお店の期待する顧客層でないことも少なくなく、二度と来ていただけない可能性の高い新規客の獲得を得る確立よりも、一度来ていただいたお客様に二度目に来ていただくことの方が、効率的ですし、そこに力を注ぐ方が、本当にお客様を大切にする姿勢がない限りはできないという意味において、顧客サービスも充実し、店のあり方としても正しい方向に向かうものと思います。

常連客・リピーターを獲得できる店に成長することができたならば、新規客を追いかけるという、不必要な費用と労力をかける必要も低減し、安定経営を実現することができるようになります。

①新規客の集客

チラシ(新聞折込、ポスティング等)、看板、雑誌(無料掲載可のものもあります)・情報誌、インターネット(食べログ掲載等)、フェイスブック等のSNS広告、法人営業、クロスクーポン等々、様々な手法があると思います。

ただ、費用対効果が一番高いのは、ホームページによる集客だと思います。ホームページをただ作るだけでは、無数の飲食のホームページに埋もれてしまうだけで、お客さんの目に触れることすら困難です。『売り』を明確に意識し、SEО対策をきちんと立てて、検索でトップページに出てくることを目指すことが重要です。

例えば、夢の雫では、現在、一応のホームページを作りつつも、新規顧客をターゲットにはしていないことから、SEO対策は全く立てていないものの、「札幌」「希少酒」というキーワードを入れるとトップページ出てきます。実際に、そのように検索をしてご来店したお客様もいらっしゃいます。

例えば、北海道の店について言うならば、北海道にいらっしゃる観光客がいかにも検索しそうなキーワードとして、「札幌 いくら」「札幌 うに」「札幌 海産」「札幌 刺身」「札幌 ワイン」などという検索、あるいは、「札幌 貸切」「札幌 食通」「札幌 接待」「札幌 ドリンク持込可」「札幌 森伊蔵」「札幌 黒龍」等々、様々なニーズを想定して、これらの検索をしたときにきちんとトップページに出てくるようSEO対策を立てることがとても重要であり、その力のある業者さんを見付けることが大切です(当事務所でのご紹介も可能です)。ただホームページを作るだけでは、全く集客はできないのです。

また、せっかくホームページに辿りついたとしても、メニューの掲載がない残念なものも少なくありません。せっかく見付けてくれたお客様を取り逃がさないよう、酒の銘柄や価格まで、きちんと丁寧に記載しておくべきです。

②再来客化の促進

次回来店時に使えるクーポン券を配布したり、クーポン取得や割引等を材料にアンケートを実施するなどして入手方法を工夫する必要がありますが、携帯メールにDMやメルマガを送付したり、気軽にお話できる間柄であれば電話やメールでの直接営業をすることなどが考えられます。

常連客にとって一番大切なのは、「自分のわがままの効く店である」という点ではないかと思います。例えば、お気に入りの日本酒を常備しておいてくれたり、オーダーして飲み物を特別に仕入れてくれたり、特別に飲み物持ち込みを可としてもらえるだとか、自分の名前の付いた特別メニューを出してくれるなどのわがままをかなえてくれる特別対応に、人は弱いものです。そういう特別対応をしてくれる店があると、知人を連れても行きたくなります。このような融通が利かせられるかどうかは、常連客を作る上でとても大切です。

また、顧客には、①会話を求める客層、②お得感を求める客層、③VIP感、ブランド感を求める客層、に分類することも可能かと思います。①については、常連客に特に気を配り、そのご要望にきちんと応える必要がありますし、②については、クーポンや常連割引(あるいは一品おまけ等)制度等が考えられ、③については、例えば特別席を用意する、専用グラスを購入して備え置く、会員制として、暗証番号でしか入れない正面玄関とする、等級分けして、等級ごとのメニュー表を用意し、通い詰めたときには特別VIPメニューを注文することができる等々の工夫が考えられます。

全国の有名店では、これらについて様々な工夫をして、他店との差別化を図っていますので、ネットで調べると様々なアイディアを盗み取ることができるはずです。
最近では、開業準備に当たってクラウドファウンディングで投資を募り、投資していただいた人に対する様々な特別サービスを提供するやり方も増えています。

③差別化

札幌で言うと、似たり寄ったりな特徴のないお店がとても多いですね。
逆に、きちんと差別化ができていると、繁盛していることが多いのも事実です。

私は、お寿司が大好きで東京から札幌に移住したと言っても過言でないのですが、ほとんどのお寿司やさんが、似たり寄ったりで特徴がなく、「素材は一流」「料理は三流」と言われる北海道で、前者ばかりに偏った同じようなレベルの店ばかりだなあと不思議に思います。

例えば、ワインや日本酒を少しでもきちんと勉強して拘ってみるだけで、お酒好きが寿司を食べたいときにはそこに来店するでしょうし、私はわさびへの拘り方で大体寿司屋のレベルは分かるものと考えていますが、立派なわさびをどかんとカウンターに置いてこだわりを示したり、一工夫した一品料理に拘ってみるなど、何か他店と差別化する材料を作ることがとても需要だろうと思っています。

夢の雫では、この店でしか飲めない希少な日本酒・焼酎・ワインの三種類の酒をいくつか取りそろえるほか、私の担当日には、綺麗な桐箱のショーケース内に、その日に取れた新鮮な魚介類をこれでもかとふんだんに詰め込んで視覚を満足させ、そのインパクトと低価格ぶりは他店に負けないように差別化を工夫しています。「ちょっと、この店、やばいぞ」「めちゃくちゃうまいぞ」とお客さんに言ってもらえるときは、しめしめ、と内心思って自己満足しています(笑)

弁護士の本業でもそうですし、仕事は全部同じだと思っていますが、できる他の人から盗み取って自分のものにするという作業はとても大切であり、こういうことを実行している人とそうでない人で、明確な力の差が付くものと思っています。

私は、札幌で、星を獲得しただとか、特集されたお店などのほか、有名店の店主にお気に入りのお店を教えてもらって、なるべく自分で足を運んで食べて飲んでみるということを励行しています。そして、どうやって作っているのか、どこから仕入れているのか、何となく話してもらえるかもという雰囲気を感じることができれば図々しく聞いてしまいます。案外、優しく教えてくれるものです。私同様、他店を食べ歩いて研究をしている人が、一流店には本当に多いと思います。最近は、さしたる料理経験もなく、我流で人からとにかく聞きまくって勉強してやっているという若いシェフに出会うことが多く、その力量には本当に驚かされますし、頭を柔軟にすることの大切さを痛感します。

また、札幌で真似てみても、その店以上にはなれませんので、東京に行く都度、東京の有名繁盛店を訪れ、同様に盗み取ります。やはり、東京の最先端のレベルには札幌のお店では残念ながら遠く及ばず、東京の店から盗み取るのが、もっとも効率的であろうと思います。