(横領等の不正事案への対応)

ビストロ店を経営しています。店の運営は店長以下のスタッフに任せきりになっているのですが、それなりに客が入っているにもかかわらず、売上金が少ないことが気になっていたのですが、先日、私の友人が店で飲食したので会計額を聞き取り、店の会計伝票と照合したところ、金額が一致しませんでした。店長を問い質したところ、ここ数年間、売上をごまかして会計伝票に記載し、その虚偽の会計伝票に基づいて売上計上をしていたことが判明しました。直ちに解雇して問題ないでしょうか?
いきなり解雇しては駄目です。まず、きちんと本人及びスタッフ等の関係者、場合によっては協力が得られるお客さんからも丁寧に事情聴取をして事実関係の全容を明らかにし、かつ、証拠をつかむ必要があります。

 

証拠がないと、刑事事件にもできませんし、損害賠償請求もできないばかりか、解雇すら、証拠に基づかない不当解雇であったと揚げ足を取られたときに反論する材料がなくなってしまうことになり、逆に慰謝料等の多額の賠償金の支払いを余儀なくされる理不尽な結果となりかねません。

証拠とは、本人が犯行を認めた状況を文書化あるいは録音するのはもちろんのこと、犯行をほのめかす関係者のメールやメモ、本当の売上金を記したメモや領収書、在庫表、入出金伝票、ごまかした分の売上金を入金した通帳、あるいはそのお金で購入した物品の領収書や明細等々です。

辞められてしまったら、協力を要求しても弁護士の所などに駆け込むなどして協力をしなくなってしまいますので、辞められる前に、きちんとこれらの作業を行って真実を聞き取り、証拠を確保しておくことがとても重要です。

自分でやるのが難しい場合には、当事務所において、会計士ら他の専門家と協力しながらの不正事実の調査を実施していますので、どうぞお気軽にご相談ください。

証拠を確保するまでの調査期間中、本人の出勤を当然ながら認めたくないのですがどのような処置をすれば良いのでしょうか?
通常、このような事態を想定して,就業規則において出勤制限を掛けてその間は無給にするとの規程があるはずですので、そのとおりに対応します。

従業員の横領や解雇に関するお悩みは飲食店専門弁護士中村浩士にお任せください。