セクハラの定義は,男女雇用機会均等法第11条1項と,平成18年厚生労働省の告示第615号において,内容が示されています。

(男女雇用機会均等法第11条1項)

「事業主は,職場において行われる性的な言動…により当該労働者の就業環境が害されることのないよう,当該労働者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」

(告示)

職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け,又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること=「職場におけるセクシュアルハラスメント」

具体的にどのような行為がセクハラと認定されるのかについては,
・性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問や発言をすること。
・不必要に身体に接触すること。
・交際・性的関係を強要すること。
・性的な言動への抗議又は拒否等を行った従業員に対して、解雇、不当な人事考課、配置転換等不利益を与えること。

以上が,典型的な例として挙げられます。

対価型セクハラと環境型セクハラについて

セクハラについては,その行為の性質によって「対価型」と「環境型」に分けて説明されることがあります。

「対価型」とは,性的な言動などを拒否したことで解雇,降格,減給などの不利益を受けることを指します。
(例)上司が女性の部下の体を触ったが,抵抗したため,この部下に不利益な配置転換をした。

「環境型」とは,職場の環境が不快なものとなったため,労働者が就業する上で見過ごすことが出来ない程度の支障が生じることを指します。
(例)同僚が社内や取引先に,自分の私生活上の性的な内容の噂を流したので,仕事が手に付かなくなった。上司が日常的に女性従業員らの腰を触るので,見ているうちに苦痛に感じて就業意欲が低下した。

特に「環境型」は,被害者に対して直接的な行動や言動を行わない場合にも,被害者の就業環境に支障を生じさせることになるので,従業員がしっかりセクハラに対する認識を持っていないと,容易に起こり得ることですので,注意が必要です。