食中毒発生に対する飲食店舗の責任

高温多湿のこれからの梅雨時期、飲食店では食中毒対策に特に注意が必要です。

もっとも、特に感染型の食中毒は、季節にかかわらず年中発生していますので、衛生管理と品質管理には、常に細心の注意を払い続けることが必要です。

飲食店で食事をして体調を壊し、病院で食中毒が疑われる内容の診断を受けた場合、医師には保健所に対する通報義務があります。

通報を受けた保健所は、患者から事情聴取し、食中毒を発生させた疑いのある店舗の特定に至った場合には、店舗の立ち入り検査を実施し、その店舗による食事が原因で発生したと特定した場合には、3日~1週間程度の営業停止処分を課すことになるのが通常です(予防対策が明確にならない場合には、それ以上の期間、停止されることもあります)。

食中毒発生の可能性を知った飲食店としては、速やかに、当該お客様に対する誠意ある謝罪と、他にも同様の被害を受けた可能性有るお客様に速やかに報告して丁寧に対応することが望まれます。

食中毒を発生させてしまった場合には、店側は患者に対し、①飲食代返金費用、②病院検査費用、③通院治療費、④交通費、⑤休業損害、⑥慰謝料等の損害賠償を支払う義務がありますが、通常は、総合食品賠償共済等の保険に加入していることがほとんどだと思いますので、最終的に決まった損害額は、ほとんどの場合、これら保険で賄われることになると思います。

但し、通常、保険会社等の示談代行は付いていませんので、患者さんへの対応や示談交渉は店側が自ら行う必要がありますので、ご自身での対応がもし難しい場合には、飲食に精通した弁護士にこれらの対応を頼むのが望ましいと思われます。

通常は、被害弁償額としては、5万円からせいぜい10万円程度になろうかと思いますが、ただ、被害が多数に及ぶ場合には、大きな損額になってしまうことになります。

上記賠償額自体は保険で賄われるとはいえ、営業停止中の休業損害、そして、再開後も風評被害による経営へのダメージは計り知れないものがあります。

風評被害等の発生を最小限に予防するためにも、事故当事者に対する誠実な対応と、再発防止策を徹底することが極めて重要です。